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襖のWEB辞典

この『襖のWEB辞典』は、東京内装材料協同組合が、平成2年12月に創立70周年記念事業として企画・発行した『襖考』の記事の一部を、WEB用に編集したものです。

ふすまのことあれこれ
 襖の歴史
 襖の紙
 襖紙の模様
 襖紙の素材による種類
 襖の縁
 襖の引き手

ふすまの実務知識(図説集)
 尺貫法とメートル法
 「襖」の文字の由来
 襖のはめ込み方図説
 襖のいろいろな呼び方
 内部構造による襖の種類
 和襖の下地骨
 襖紙の貼り方





襖は、昔は「障子」という言葉が広い意昧で用いられていたため、「襖障子」と呼ばれていました。現在では、障子と襖は別のものとして区別され、襖は部屋の間仕切りや押し入れなど、実用とインテリアを兼ねた建具として使われています。
襖は、襖紙(上貼り)・下貼り・引手・縁・骨などで構成され、 最近では、その材質もデザインもさまざまです。
なお、仕上がった襖は普通「本」の単位で数えます。

長さの基準:尺貫法とメートル法 の換算(参考)
襖は伝統的な日本建築に付属する建具ですから、使われる寸法も、尺貫法を基準としています。尺貫法とメートル法の関係は次表のとおりです。

尺貫法 メートル法
1分 3㎜
5厘 1.5㎜
5分5厘 16.5㎜
6分 18㎜
6分5厘 19.5㎜
7分 21㎜
1尺 約30.3cm
1間 約 182cm
「ふすま」の文字の由来(参考)
  「ふすま」の漢字表記は一般に「襖」とされていますが、襖の業界では永く、造に書く「奥」の内側の「米」の上に「ノ」を付けた「采」を使用して来ました。
このホームページでは、主にひらがなの「ふすま」を使用しましたが、「ふすまのWEB辞典」では、原典に使われている漢字表記を使用しました。ただしWEB上では特殊文字が使えませんので、通常使われている「襖」の活字を使用しています。
なお、ふすまは日本で生まれた和製の建具です。したがって《襖》の文字は平安時代にわが国で生まれた文字だと考えられています。
1.【襖のはめ込み方図説】

●すべて手前側が主室側です
2.【襖のいろいろな呼び方】
襖は、その種類や使われ方で呼び方が変わります。
「サイズ(高さ・幅)」「開閉様式」「用途」「縁の太さ」「縁の取り付け方法」「変わり襖」「規格品・特注品」などによって、いろいろな名称(呼称)があります。

(1)《高さ寸法による呼ばれ方》
◆ 五七【ごしち】高さが5尺7寸のもの。
◆五ハ【ごはち】高さが5尺8寸のもの。
◆中間【ちゅうま】高さが3尺以上5尺くらいまでのもの。
◆半襖【はんぶすま】高さが2尺以上3尺くらいまでのもの。
◆丈長【たけなが】高さが5尺8寸を超える丈長と呼ばれるものもあります。なかでも2m丈の建具に合わせて、襖の高さが2mのものも増えています。


(2)《幅による呼ばれ方》
襖は柱と柱の間の寸法(内法寸法)に、入る本数によって、次のように呼ばれます。


◆2枚立【にまいだち】
柱と柱の間が2枚の襖で構成されるもので、「引き違い」とも呼ばれる。特に1間のまなか幅のところに入るものを「間中」という。

◆4枚立【よまいだち】
柱と柱の間に4枚の襖が入るもの。内法が9尺の場合は「九四」、または「9尺4枚立」、2間の場合は「2間4枚立」、または「二間」、同じく2間半は「2間半4枚立」、または「二間半」、3間の場合は「3間4枚立」、または「三間」と、それぞれ呼ばれる。

(3)【開閉式による呼称】
◆片引き
1本の溝に1本の襖が入るもので「一本引き」ともいう。

◆引き分け
1本の溝に2枚立として入れたもので左右に引き分けるもの。

◆引き違い
2本以上の溝に入れ・引き違えることができもの。

◆片開き
1本の襖の片側に丁番を取り付け、その反対側に取手を付けたもので、開閉して使用する襖。

◆両開き
2本の襖を手前に引いて使用する襖。観音開きと呼ばれるものもある。

◆観音開き
2枚、3枚、あるいは4枚ずつの襖が左右に吊られていて、折りたたんで開くもので仏壇に多く使われている。

◆倹鈍【けんどん】
上下に上げ下げして取りはずすことのできる小襖のこと。

◆嵌めころし【はめごろし】
壁に取り付けたままで、開閉のできない襖のこと。

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(4)【用途別の呼称】
◆間仕切り(中仕切り)
部屋と部屋とを仕切るために使われる襖。襖の両側が部屋に面するため両面に上貼りが貼られる。このため、「両面」「両面貼り」とも呼ばれる。

◆押入れ
片側だけが部屋に面するので、片面のみ上貼り(裏は裏貼り)が用いられる。このため「片面貼り」とも呼ばれる。

◆鴨居上【かもいうえ】
押入れの上の小襖のことで、現在では、「天袋」とも呼ばれる。縁は細縁、または縁なし(太鼓襖)が用いられることが多い。

◆天袋・地袋【てんぶくろ・じぶくろ】
床の間の脇床の上段・下段に取り付けられる小襖のことで、上段のものを天袋、下段のものを地袋と呼ぶ。縁は細縁が用いられることが多い。


(5)【縁の取り付け方法による呼称】
◆堀付き【ほりつき】
一般的な縁の付け方で、縁の表面に釘の頭が見えないように、折れ合い釘、木ネジなどを使って縁を取り付けたもの。このため「釘かくし」「折れ合い」とも呼ばれる。

◆打付【ぶっつけ】
縁の外側から釘止めをしたもの。釘の頭が表面に出ているため、「打ち付け」とも呼ばれる。

◆印籠【いんろう】
縁と骨を印籠の形で取り付けたもの。

(6)【縁の太さによる呼称】
◆並見付き【なみみつき】
縁の見付きが6分5厘のもので、一般的に使われているもの。

◆細縁襖【ほそぶちぶすま】
縁の見付きが、並見付きよりも細いもの。5分、4分などがある。

◆太縁襖【ふとぶちぶすま】
縁の見付きが、並見付きよりも太いものをいい、見付きが8分または1寸のものが多く、主に東北・北陸地方などで使われる。

(7)【変わり襖】
◆太鼓襖【たいこぶすま】
縁なしの襖で「太鼓張り襖」「坊主襖」とも呼ばれ、茶室や、洋間と和室の間の仕切り鴨居上などに多く用いられる。引手は切引手を使うことが多く、切引手は骨の1小間をそのまま引手代わりにしたもので、その小間に引手板を入れ、表面には上貼り紙を貼って仕上げる。ただし、裏と表の同じ位置に引手がつくれないため、茶室の場合には室内側は襖骨の小間で下から4つ目に、室外側は5つ目に切引手を付けるのが一般的である。この切引手は「落とし引手」「塵落とし」などとも呼ばれ、デザイン的にはすっきりしているが、上貼り紙に直接手が触れるために汚れやすいのが、やや難点である。

◆源氏襖【げんじぶすま】
襖の一部を切り取って、その部分に障子を組み込んだもので、「中抜き襖」とも呼ばれる。この襖を使うことで部屋に光を取り入れたり、デザインに変化をもたせることができる。

(8)【規格品・特注品の呼称】
◆注文襖【ちゅうもんぶすま】
建物の柱、鴨居、敷居に、一本一本丁寧に合わせてつくられる伝統工法の襖。上貼りの模様から縁、引手はもちろん、サイズ・構造まで指定することができ、4枚つなぎや6枚つなぎなどの模様の特別注文も可能。「建て合わせ襖」とも呼ばれる。

◆寸法襖【すんぽうぶすま】
注文襖と規格襖の中間に位置するイージーオーダー的な襖。注文襖ほど細かくはないが、寸法・模様など、ある程度顧客の注文に応じられる。工期も注文襖ほどかから ない。

◆規格襖【きかくぶすま】
襖の高さや幅などが標準化(規格化)されている襖。上貼りの模様やサイズが決められているため量産ができ、価格も比較的安い。
3.【内部構造による襖の種類】
襖の内部構造は、その内部に使う素材によってそれぞれに違いがあります。下地材に使われているものによって襖の種類には、つぎのようなものがあります。
「組子襖」「単板襖」「板(ベニヤ)襖」「チップボール襖」「ダンボール襖」「発泡プラスチック襖」その他の襖

(1)《組子襖》
昔からの襖で、現在でも代表的なものです。一般に組子は縦3本、横11本で組みますが、この見付き寸法は4分(=四分子)が普通です。特に構造を強化したい場合には、力子、燧板(隅板)を加えることがあります。
普通、組子の上に骨縛り、打ち付け貼り、蓑貼り、べた貼り、袋貼りなどの順に下貼りを重ねて芯を仕上げますが、骨縛りとべた貼りを合わせて1枚にした紙(漉き合わせ)を使用する場合が多くなっています。
この襖は、そりやねじれに強く、伝統的に長く使われきており、温度湿度への適応性からも日本の気候風土に合ったものといえます。また張り替えの即応性があるということからも、多く使われている襖です。

(2)《単板襖》
簡単に組んだ組子の上に丸太(主としてラワン材)をむいて切り取った0.7㎜~1.2㎜のごく薄い板(これが単板)を貼った襖ですが、地域によって単板の厚さや組子の本数に多少の違いがあります。糊づけのため骨を柱の曲りに合わせることはできないので、縁をつけて完成したものを下桟などで調整して柱付きを合わせます。
単板襖は、ダンボールや発泡プラスチック系に比べて、寸法物への対応性に劣ります。また、紙貼りの作業ではチップボール芯にはかないません。そのうえ、やや重量感に欠けるところがあります。

(3)《板(ベニヤ)襖》
単板襖と同じ構造で、組子の上に厚めの合板(べニヤ板)を貼った襖です。 この襖は、ほかの種類の襖に比べ丈夫なことが特長です。ただし、かなり重量があります。最近は、片面は襖紙、片面には壁紙などが貼られた「戸襖」と呼ばれるものもあります。

(4)《チップボール襖》
簡単に組んだ組子の上に、骨縛りとべた貼りに代えて、チップボール(チップボードともいう。ボール紙の一種)を貼った襖です。組子襖に比べて組子の本数が少ないのですが、骨縛りやべた貼りの手間がはぶけるためによく使われています。

(5)《ダンボール襖》
量産襖の代表的な襖です。3層ぐらいに重ねたダンボールを芯材として、一番上のダンボールの両面には、湿気防止用のアルミ箔が貼られています。この襖は、張り替えがしにくいという欠点をもっていますが、芯材を機械生産することができるためコストが安くすむという大きな特長もあります。

(6)《発泡プラスチック襖》
プラスチックの発泡体を芯材とした襖です。プラスチックの種類にはスチロールとスチレンの2種類がありますが、スチロールを使っているものが大半を占めています。
この襖はダンボール襖と同じように張り替えの点で他の襖に劣りますが、大量生産ができるのでコストが安く、寸法詰めも自由になるという利点があります。このため、まとまった需要にも応じることができます。

(7)《ぺ一パーコア襖》
ボール紙や単板芯の中空のところに八二カム状のぺ一パーコアを入れることで、強化した襖です。そのため、そりやねじれが少ないのですが、価格は高くなります。

(8)《アルミ(縁)襖》
襖の縁にアルミ製の縁を用いた、新しい襖です。単板芯以外の、従来の芯材が使われています。なかでもダンボール芯と発泡プラスチック芯を使ったものが主流です。

※ 各種襖の特徴
各種襖には、それぞれ一長一短がありますが、総合的に判断すると、やはり長い歴史の中で育まれ、伝統に培われた組子襖が優れています。まさに日本の気侯風±の理にかなった建具といえるでしよう。
4.【和襖の下地骨】
一般的に襖の下地骨には杉白太材が多く使われていますが、ときには樅を用いることもあります。また、高級な襖の場合には檜や栂、桐なども使われます。
襖骨はその周囲の縁を框(縦のものを竪框/たてかまち、横のものを横框)といい、中の組子を中子・中組子、その組子の縦のものを竪子・竪組子、横のものを横子・横組子、力骨を力子と呼んでいます。
中組子は、縦3本、横11本を普通として、上級品は横を13本とします。
襖の中央の力骨の下の小間には、引手板を付けます。また、襖の歪みや隅じわを防ぐために、四隅に厚さ6㎜くらいの燧板を入れる場合もあります。燧板は隅板とも呼ばれます。

《さるとり》
周囲の框は襖縁から下貼り紙の厚さ分だけ、片面につき1㎜ぐらいずつ薄くし、内部にむけて楔形に削ります。このことを「さるとり」といい、仕上がりを美しくするための工程です。

《襖骨の組み方》
襖骨の組み方には、さまざまな種類がありますが、
「平骨十文字燧板入り」「平骨」「竪平骨」「割返し」「四分子」「三分子」などが、現在使れている代表的なものです。
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5.【襖紙の貼り方】
襖紙とひと口に言っても、その工程にはいろいろあります。つぎに紹介するのは、組子襖の下貼りから上貼りまでの一般的な貼り方です。

《下貼り》

◆骨縛り
組子側に糊をつけて、手漉き和紙・茶チリ・桑チリなどの強い和紙を、障子貼りのように貼る。

◆打ち付け貼り
骨が透けないように、透き止めなどのためにすることもある。「骨縛り押貼り」ともいわれる。

◆蓑貼り
紙を框に糊付けし、ずらしながら重ねて、蓑のように貼る。「重ね貼り」とも呼び、手漉き和紙・茶チリなどの薄手の紙を用いるが、反古紙を使うこともある。

◆べた貼り
紙の全面に糊を付けて貼る。

◆袋貼り
半紙または薄手の手漉き和紙・代用石州・茶チリなどの紙の周囲にだけ、細く糊を付けて袋状に貼る。「浮け貼り」ともいわれる。

◆清貼り
紙の全面に薄い糊を付け、襖全体に貼る。ただし、これは上貼りの紙の材質によって行う。

《上貼り》
◆襖紙(上貼り紙)は、紙・織物・ビニールに大別される。紙の種類、材質などによって施工の際、糊の濃さを加減するなどの細かい配慮と高度な技術を要する。