トップページ > 内装材料コンテンツ > 襖・和室のすすめ。

襖・和室のすすめ。

襖・和室のすすめ。




Text & Photographs:eriko hosoi
襖のある家。
今回、ご紹介するO邸は、東京スカイツリーを近くに望む住宅街にあります。築28年目になる鉄筋造の4階建ての建物の一階には店舗スペースがあり、上階がOさんご一家の住まいとなっています。
 リビングの隣にある和室と以前ご両親の寝室だった和室が計三間あり、どのお部屋も伝統的なしつらえで落ち着きのある空間になっています。






襖で空間に景色や色彩を取り込む。
 襖紙には様々なデザインがあります。伝統的な柄の代表として山水画や松などの自然をテーマにした図柄が揚げられます。また、唐紙などによく見られる青海波などの古典的な文様もあります。最近ではモダンな空間にも合う大胆な抽象画風やシンプルモダンな幾何柄を用いたものも見られます。
 今回取材させていただいたO邸では3室ある和室の襖紙をすべてここ数年で新しいものに貼り替えられました。奥様が選んだ柄は、伝統的な自然をテーマにしたものです。あまり古典的になりすぎず、且つ派手にならない、柔らかな印象の色彩が特徴的なものを選ばれており、空間に明るさと落ち着きをもたらしています。リビング脇の和室の襖には雲と山並みの図柄が貼られ、空間をより広く大きく見せる効果が生まれています。このように何枚もの襖がある大きな開口部を持つ和室であれば、図柄が持つ雄大さや伸びやかなデザイン特徴が映え、まるで大きな窓の外にその景色が広がっているような印象を見る人に与えてくれます。そして、かつてご両親の寝室だったふた間続きの和室には、それぞれ明るいパステルトーンの色合いが美しい図柄が選ばれ、空間に彩りと華やぎをもたらしてくれています。
 襖は間仕切り戸という機能を持ちますが、大きな面に美しい図柄を配すことで、絵を飾るような効果を空間に与えてくれるのです。












襖が持つ力。可変性、そして持続可能性。
 和室は元々大変フレキシビリティ(適応性)に富んだ空間です。昔より和室は、茶の間であり、来客を迎える間であり、くつろぎの間であり、寝室にもなる、使う側次第でいく通りもの役割もこなすマルチな空間でした。近年、和室の活用法やその便利さを知らない、体感したことがない若い世代が増えていることは残念でなりません。そして、和室に設置される建具である「襖」は、空間を仕切ることもつなげることも出来る可変性に富んだ建具で、和室が持つ適応性をさらに高めてくれる魅力的な存在です。また「戸襖」という種類もあり、最近の住宅に見られるリビングなどの洋間との隣接に適した、一方の面が扉仕様になっているタイプもあります。
 また、襖は模様替えやリフォームの際、襖紙を貼り替えるだけで新品のように美しくなる、大変エコな建具でもあります。塩ビシートが貼られた木目柄のドアは傷がついたり、汚れたりすると本体ごと取り替えるしかありませんが、襖はパーツの取り外しが可能で痛んだパーツのみを修繕することが出来ます。また、種類の違う和紙を幾重にも重ねた襖は日本の気候に合うよう設計されており、梅雨の時期などには湿度を調整する「調湿機能」も発揮します。つまり室内環境に良い構造をしているのです。そして下地などの本体を手入れしながら長く使うことができるので、エコの観点からもサステナビリティ(持続可能性)のある建具と言えます。
 環境にも見た目にも美しい、襖をこの機会にぜひ見直してみませんか?
古くなった襖には、新しい襖紙を貼り替えるだけで明るく美しく仕上がりますし、引手を取り替えるだけで、襖のデザインのイメージを変えることも可能です。手軽にできる「襖リフォーム」を今年はぜひお試しください。そして、これから新しく住まいのプランに入る方は、ぜひ和室が持つ可変性や適応性に注目していただき、和室のプランをご検討ください。住まいは時の変化とともに家族構成も変わり、部屋の使い方やデザインを変えたくなるものです。その時に和室が持つ柔軟な適応性が活かせれば、ローコストで手軽に模様替えや使い方を変えることが出来ます。ぜひ、新しい時代の和室を作っていきましょう。



LDKの一角に設けられた和室。小上がりになっていて、L字型に戸襖が納められている。すべて開ければ開放的な空間になり、戸襖を閉めれば個室になる可変性がある空間。


三枚引き戸の敷居。




O邸の引手。