「家もクリーニングした方が美しく、長持ちする。」

ある家具メーカーの代表の方からこの言葉を聞いたとき、最初は文字通り「お部屋を掃除する」の意味だと思いました。しかし、そうではなくここで言う「クリーニング」とは「お部屋の手入れをする」という意味だということがわかりました。つまり、お気に入りの洋服やご主人のワイシャツをクリーニングに出すように、こまめにお部屋を「クリーニング」=「プチ・リニューアル」すれば、美しく楽しく、お部屋を素敵にすることが出来、結果、長持ちする家になると言う意味だったのです。長年、リフォームに携わってきた私ですが、この言葉にはハッと気づかされるものがありました。そこで、今回は大がかりなリフォームはまだ必要としていない人にもお勧めの「プチ・リニューアル」テクニックを幾つかご紹介しましょう。

テクニック1 家具は動かさず、装飾で印象を変える

「模様替え」というと大きな家具を大移動するなど、かなりの力仕事を伴うと考える人がいますが、そんなことはありません。ここでは、家具を動かさなくても出来るテクニックをご紹介します。

まずは、お部屋の中の壁を全てチェックしてみましょう。何も飾られていない、殺風景な壁はありませんか?もしそれが、部屋の入口に対して対面にあたる場所にあったら、そこは絶好のリニューアルポイントです。実は部屋の印象というのは、壁面のあり方で大きく変わってくるのです。

例えばダイニングコーナーのキャビネットとその壁面。そこに額を飾ってみませんか?そしてその下にお気に入りの小物をディスプレイしてみましょう。きっとこれまでの食卓とは違った印象を与えてくれるはずです。飾る額は高価なものである必要はありません。気に入った写真やポスターなどを壁のサイズに合わせて額装し、壁に掛けるだけで、プロの手による装飾のようにぴたっと決まるはずです。

装飾前
装飾前
装飾後 額絵を飾る
装飾後 額絵を飾る
装飾後 小物をディスプレイ
装飾後 小物をディスプレイ

テクニック2 色柄を加える ミックス・スタイルに挑戦

一時流行したシンプル・モダンの傾向が影を潜め、ここ数年、個性的で楽しいミックス・スタイルが注目を集めています。「自分スタイル」を求める価値観の変化と多様化するインテリアスタイルがその背景にあります。今のお部屋のスタイルにちょっと飽きてきたな…と思ったら、ラグや小物でスタイルに変化をつけてみましょう。違うテイストのものを組み合わせることで、他にはない「自分スタイル」が生まれるかもしれません。ポイントは色数を全部で3色ぐらいに押さえること。部屋の中で大きな面積を占めるカーテンや家具の色と相性のいい色(もしくは同色)に揃えることで、柄のテイストが違っていても、上手く納まることでしょう。大切なのは「自分好みのテイスト」を見つけることです。部屋の調和(ハーモニー)を生むのは「自分テイスト」だということを忘れずに。インテリアショップやショールームを回って、どんなスタイルが今の自分にピタッとくるのか、「自分テイスト」を探しに出かけましょう。

リニューアル前
リニューアル前
リニューアル後
リニューアル後
ランプのシェード(傘)を変える
ランプのシェード(傘)を変える
クッションカバーを新しくする
クッションカバーを新しくする

テクニック3 一部屋ずつの壁面プチ・リニューアル

リフォームというと大掛かりで予算も時間も労力もいるというイメージがありませんか?設備や構造など重ねた年数によって手を入れなければならない箇所があるのは確かですが、部屋の中のリフォームはもっと気軽に「プチ・リニューアル」が出来ます。ここでは、一部屋ずつやる壁面のリニューアルをご紹介しましょう。

施工時から5、6年経つと、壁紙は汚れてきます。特に白い壁面の場合、大きな汚れがなくてもホコリなどが吸着したり、壁のスイッチ回りが手垢で黒ずんだりしてきます。同じようにドアや襖などの建具もよく触る場所が汚れたり、摩耗したりしてきます。毎日少しずつ付着するこれらの汚れは、大きな変化ではない為気がつきにくいので、ついつい10数年手を加えないまま、ということが多いようです。家全体の大掛かりなリフォームをする場合、工事期間中に引っ越しをしなければいけなかったりすることがありますが、壁面のプチ・リニューアルはその必要はありません。短時間で工事は完了。手間も予算も掛けずに気持ちのよいお部屋を手にすることが出来るのです。

大切なのは発想の転換。毎年もしくは半年に1回、お家の中で汚れたり、変えたいな、と思う部屋をチェックしてみましょう。家の中全体を一度に変えるのではなく、一部屋ずつリニューアルすることがポイントです。お部屋の広さによっても多少差はありますが、一部屋の場合、壁紙の張り替え、もしくは壁の塗り替えをしても1日で工事は完了します。朝、ご主人やお子さんを送り出して夜帰宅する頃までには終了しているのです。どうです?そう考えるとそんなに大変ではないということがわかりますよね。そうやって少しずつ手を加えていけば、水回りなどの設備が絡むリフォームをする際には壁や天井には大きく手を加えなくても済むのです。

そして、せっかくリニューアルするならば、イメージチェンジをしてみましょう。以前がシンプルな白い壁面だったならば、思い切って色や柄をつけましょう。その際、四方全ての壁に色柄をつけるのは勇気がいることなので、お勧めは一面だけアクセントカラー(もしくは柄)をつける方法です。部屋の中心となる(視線が集まる)壁面にだけ壁紙や色を変えて施工します。驚くほど部屋の印象が変わるはずです。寝室の場合はベッドヘッド側の壁面に落ち着いた色をつけると、まるでホテルのような仕上がりになります。

壁の色が変わったら、今度はカーテンやソファの張り地にも手を加えていきましょう。ヘア・スタイルやファッションを変えて楽しむように、インテリアの模様替えももっと気軽に楽しむようになると、家が素敵に変身します。

是非、お試しください。