昨年、日本をはじめ世界中で多くの美術館がオープンし話題を集めました。もちろん東京もその代表的な場所のひとつ。収蔵される作品も現代アートからプリミティブ系まで様々。そのような流れを受け、いくつもの雑誌で美術館特集が組まれるなど、アートに対する関心は高まるばかりです。

そんなアート熱が高まる中、インテリアやファブリックを使って表現するアーティストが多く登場するなど、アートの世界に変化が起こっています。


そのひとつの動きとして挙げられるのが、昨年末から今年頭にかけて東京都現代美術館で開催された「SPACE FOR YOUR FUTUREアートとデザインの遺伝子を組み換える」展です。

ここでは様々なジャンルのアーティストやデザイナーがその垣根を越えて新しい空間を生み出すべく様々な実験的試みをしていました。そしてそこにはそれを見て楽しむ参加型の観客が不可欠。離れた場所から鑑賞するのではなく、見て触って入って着ることで、体感する。

デザインであり、アートでもある“空間”がそこにはありました。


そしてインテリアの世界にもある変化が生まれています。それはまるでアートのような家具や小物の登場。「リミテッド・エディション」と呼ばれる限定品が注目され、ビンテージ家具と共に高値でオークションで売買される等、市場に変化が起こっているのです。


デザインとアートは、従来、目的それ自体が異なるものす。

デザインとは、機能を備えた「使うもの」であり、アートとは、その作り手(アーティスト)のメッセージを伝える「表現」でした。

それが今、アートとデザインの境界が急激に、まるで滲むように曖昧になってきている現象が起こっているのです。そしてそのことが、新しい「空間」を生み出そうとしています。


「space」を単なる物理的な空間としてとらえずに、人の感覚や思考と結びついた

未来を生み出す新しい空間概念として再構築されようとしているのかもしれません。

アートなインテリア Maison & Objetより
アートなインテリア Maison & Objetより