ベーシック・スタイルがファッションでもインテリアでも多く見られたここ数年。けれど2016 年に入って色でも柄でも素材でも“装飾性”が戻ってきました。2016 年1 月にフランス、パリで開催されたインテリア見本市Maison & Objet Paris 2016、Paris Déco Off 2016 から最新のインテリア・トレンドをご紹介します!
トレンドに装飾性が戻ってきた
2014 年、N.Y.発で話題になったファッション・キーワードに“ノームコア”がありました。 “究 極の普通”とも訳されるこの言葉。流行を追いかけ自己主張するのではなく、着心地の良いシン プルな服を自分らしく着こなすことがおしゃれだという考え方。アップル社の創業者の一人で もあったスティーブ・ジョブ氏のベーシックでいつも変わらないファッション・スタイルから 生まれたとも言われています。そしてインテリアでも安価でシンプルなデザインの物が長く主 流を占めてきました。そう、ここ数年はファッションでもインテリアでも“ベーシック”が基本に あったのです。
そして2016 年。長年の“シンプル&ベーシック”には飽き飽きしたと言わんばかりにデザイナ ーや各ブランドでは装飾性のある商材を発表してきました。私たち消費者の心を刺激してくれ る華やかな色や柄。複雑な素材や加工技術。そして見る者の心を揺さぶるドラマチックなイン テリア・スタイルなど。カムバックした新しい時代の装飾性に注目です。
Maison & Objet Paris 2016 のトレンドテーマは“WILD”
展示会:Maison & Objet Paris 2016
会期:2016 年1 月22 日~26 日
会場:パリ・ノール見本市会場
世界中から注目されるパリで開催されるインテリア見本市メゾン・エ・オブジェのトレンド ブース『INSPIRATIONS』。前回(2015 年9 月開催)のトレンドブース“PRECIOUS”から傾向 が見られ始めた新しい時代の装飾性は、“ニュー・ブリング(新しい派手さ)”と“ゴールドの復活” を通して表現されました。
そして今回のテーマは“WILD”。森をイメージしたブースを創り出し、“深い森”や“未開の地”に 対する憧れや恐れ、そして自然界との繋がりを洗練されていない荒々しさがむき出しの家具や オブジェで表現。また3D プリンターによるワイルドな造形物や錆や窯変などの化学反応を用い た金属素材の最新の加飾技術などを展示し、都市にある住宅、商業建築の中に見られる“野生性” について触れています。最後のブースでは“聖なる儀式”をインスピレーションとし、よりスピリ チュアルな側面にも触れ、奥行き深く、現代におけるデザインの装飾性である“WILD”とは何か を語りかけていました。
Wild Natural
では、トレンド・キーワードの“WILD”はどのような形で実際のインテリアとして現れてくるのでしょうか。ワイルドらしさを表す柄や素材を中心にご紹介しましょう。
《ジャングル・モチーフ》
植物モチーフでは、ジャングルに生えているシダやヤシなど南国の植物の柄が数多く登場しました。またトロピカルフルーツの王様、パイナップル柄も登場。オウムなどの鳥モチーフや装飾も多かったのが今年の特徴です。トレンドカラーであるブルーやグリーンを使った南洋の植物モチーフで壁や窓辺を飾れば今年らしさを演出できます。
《エスニック》
ワイルドでナチュラルというイメージから、エスニックなテイストも登場。影響力の強い2つのフランスのラグジュアリー・エディターでは、それぞれ中南米と東南アジアの伝統素材やモチーフを巧みに用い、明るく野趣溢れる装飾性をエスニックテイストでワイルドに表現しています。
本コラムではインテリアの内装材にまつわる様々な情報を発信してまいります。国内の新しい製品情報はもとより、エンドユーザーの消費行動に関する変化や海外トレンドから得られるデザインのヒント、話題の建築などにも着目しご紹介してまいります。