日本の住まいにおける室内ドアや引き戸、みなさんはどんなデザインを思い浮かべますか?
住宅用建具の多くが木製もしくは木目柄のシート化粧貼り、もしくは無地のシンプルなフラッシュドアとなっています。これだけ空間デザインの多様性が求められる今、建具デザインの考え方にも変化が生じてきているのでしょうか。壁との相性、そして間仕切りとしての役割も果たすパーテーションなど、新しい建具のデザインと壁との関係をご紹介します。
オリジナル建具で壁紙や襖紙を使ってみよう
規制品の建具デザインに満足できない時、他にどんな選択肢があるでしょうか。デザイナーや建築家が関わる現場ではオリジナルの建具をデザインすることがよくあります。その時に、各室共通の素材やデザインで統一するケースも多いですが、子供部屋や寝室など、プライベートな空間では思い切った色使いやデザインにして一点もののドアを製作する場合があります。そんな時、多様なデザインが揃っている壁紙や襖紙を使用すると思いのほか安価で、美しい建具を作ることが可能になります。
私が以前新築物件でデザインを担当したO邸では、壁紙や手すき和紙を建具に貼って、空間のアクセントとして建具をデザインしました。この時にはそのすぐ横の壁には別のクロスを貼るなどして同一化せず、建具の存在を引き立てるようにしましたが、建具に貼った壁紙をそのままその壁にも施工すれば、壁と建具が一体化したデザインにすることも可能です。
戸襖から壁紙とリンクする新しい建具へ
以前、日本の住まいには必ず和室があり、そこには襖がありました。そして家族団欒の場所としてリビングが登場すると、そのすぐ横に和室がプランされるようになり、その境(間仕切り)には戸襖が使われるようになりました。木質系もしくは壁紙を貼ったリビング側と襖紙を貼った和室側でリバーシブルの上着のように両面で違った表情を見せるこの建具は、ごく当たり前に私たちの住まいに存在しました。しかし和室の減少に伴いこの戸襖も見かけることが少なくなり、「壁紙を貼った建具」を知らない世代が今、生まれています。
一方、白い壁紙が主流だった時代から、現在は色柄豊かなアクセントクロスを使用するケースが増えてきました。そこで問題になるのが建具と壁紙の関係です。せっかく綺麗な色柄の壁紙でアクセントをつけても、建具によってデザインが途切れてしまい、効果が半減してしまうケースが出てきています。その問題を解消するための方法として、戸襖のように自由に壁と同じ壁紙を貼れるドアや引き戸があったらどうでしょうか。
YKK APから発売されている「ファミット」のクロスデザインシリーズは、クロスが貼れる規制品の建具の一つです。自由に好きな壁紙が貼れるようになっているので、大きな絵のようなパノラミックデザインのアクセント壁紙を使用する場合にも大変便利です。また、空間デザインに合わせて建具の色柄を細かく変えたい時にもその自由度は増します。建具のフレーム部分は細く目立たないよう設計されているので、昔の戸襖よりもすっきりとした印象に仕上がります。
ワンランクアップしたガラス製間仕切り建具
リビングの横にホームオフィス空間を設けたり趣味の部屋を作るなど、間取りの多様化が進む中、魅力的な間仕切り戸や建具のニーズが高まっています。中でもガラスを使った建具は人気が高く、海外ブランドのクローゼットシステムでは高価なカラーガラスが使われ、国内メーカーも各社力を入れて新商品を発表しています。最近では単純なカラーガラスだけではなく、布や和紙を挟み込んだり、シートでデザイン化したもの、照明を組み合わせたり、フレームにアイアン素材を使用するなどそのデザインは多様化してきています。
空間に広がりを持たせ、明かりを取り込み、上質感をプラスするガラス製パーテーションは、これから益々進化し、デザインの幅が広がっていくことでしょう。
本コラムではインテリアの内装材にまつわる様々な情報を発信してまいります。国内の新しい製品情報はもとより、エンドユーザーの消費行動に関する変化や海外トレンドから得られるデザインのヒント、話題の建築などにも着目しご紹介してまいります。