和洋問わずに大活躍 華やかな色と風合いが魅力の和紙素材

和紙と聞いてあなたはどんな色を思い浮かべますか?

世代やどんなシーンを思い浮かべるかによってそのイメージは様々だと思いますが、多くの人が白や生成り色のシンプルな無地の和紙を思い浮かべるのではないでしょうか。

インテリア空間に使用出来る和紙製品の色は実は大変バリエーション豊か。色だけではなくその製法や加工、加飾技法によってテクスチャーや柄も実は多種多様なのです。そんな和紙を室内装飾や壁装材の素材として見直す動きが今高まっています。例えば、美しい砂子やキラで装飾された紙をパネル化してベッドヘッド上部に用いるホテル。室内ドアや家具の扉の面材として襖紙を貼ったクラシックテイストの洋間など。自由な発想によるデザイン手法で使用範囲の幅を広げています。伝統的な和室の良さが再び見直されるとともに、伝統的な使われ方だけではなく、華やかな色柄を生かした新しい使われ方に今後も注目です。

海外でも大注目 伝統の和柄を大胆かつ繊細に

ヨーロッパの有名メゾン(ブランド)の壁紙やファブリックなどの新作に和の伝統柄が見られたのも今年の特徴。例えば日本では青と白で表現されることが多い青海波。それがドイツの人気ブランドの手にかかると鮮やかな赤の地に光沢を押さえた金色模様の壁紙に変身。そこに合わせる黒の地のアクセントクロスは白梅の柄。和のエッセンスを侘び寂びの世界観ではなく、大胆にコントラストを効かせた色鮮やかなオリエンタル・モダンな装飾壁紙として表現。他にも襖紙の柄としても知られる「扇面」風モチーフを銅色のメタルプリントのカーテン生地に。また着物の柄を思わせる格子柄も登場。歌舞伎の有名演目のひとつ「棒縛(しばり)」。その主人公、次郎冠者が纏う着物の柄「縞熨斗目」を思わせるチェックのモチーフ。その配色の妙は歌舞伎ファンならこれは歌舞伎からヒントを得たのでは?と連想してしまいます。

伝統的な和柄を日本式の細かなルールに縛られることなく新たに表現することで、和柄を大胆に活用する傾向がそこには見られます。そして最近の傾向として見られるのは、色の組み合わせなどの縛りは無くしてもその文様が持つ本来の美しいバランスは崩していない点です。以前はステレオタイプ的な土産物屋テイストの和の柄(例えば浮世絵や富士山など)も見られ残念な思いもしました。しかしここでご紹介したように伝統柄を美しいままにアレンジする傾向が顕著になっています。その背景には、世界のデザイナーやクリエーターから日本の文化が注目され、きちんと認知されるようになってきているからでしょう。