新しい時代を感じさせるナチュラル・モダン
今シーズン、まず目を引いたのは、会場にナチュラルウッドを用いたブースデザインが増えた事です。数年前までの「エコ」「グリーン・デザイン」の流れを受けてのデザイン傾向が戻ってきたのではなく、“新しい時代の新しいナチュラルの概念”がスタートしたのです。家具や照明器具などの新作やブースデザイン、デコレーションにその要素が幾つも見られました。Maison & Objetのトレンドブースである「INSPIRATIONS」やElizabeth Lericheによる「WONDERNATURE」などもそれを示しています。
「モダン・デザイン」がインテリア界に登場して既に半世紀以上が経っています。それにも関わらず、それを継承するデザインを私達は未だに「モダン(現代的)」という言葉で括っているという不自然な状態が長く続いていました。今回の新しい流れは、ようやく21世紀における“モダン(現代的なもの)”なものが「新時代のナチュラル」として現れ始めた兆しなのかも知れません。
新鮮でわくわくする、新しい感覚を持つ自然をモチーフにしたデザインは、私たちの生活の中でどんな彩りを見せてくれるのか、ぜひ注目していきましょう。
「INSPIRATIONS vivant」
Maison & Objetのトレンドブース。今シーズンのテーマは「vivant(生あるもの)」。生活を楽しく豊かにしてくれる新しいアートの源を自然の豊かさや活力(生命力)に見出そうとするテーマです。ブースは3つで構成され、「食品」や「科学的実験」「バイオと再構成」「快適さを開拓する」などの切り口で見せてくれました。
テクノロジーとクリエーションの化学反応
新素材の開発や加工技術の飛躍的向上、地球環境問題や経済格差、不景気等、さまざまな要因に影響を受けながら多くのクリエーターが新しいモノづくりやデザインを模索する現代。新しいテクノロジーとデザインが結びついた時に生まれる化学反応のようなデザインは、トレンドの中で一つの大きな流れです。
そして昨年、「BIO DESIGN」という概念をまとめた書籍がイギリスから発売され、その流れは激流のように私達の生活シーンに浸食し始めています。2013年から2014年にかけてのこの一年は、そういった意味でも“新時代の幕開け”として記憶される時なのかもしれません。
Maison & Objet éditeurs 2013/Paris Deco Off 2013 トレンド傾向
インテリアファブリックスの色やカラー傾向はどうでしょうか?
今シーズン注目したいキーワードは、
1.インクカラー(墨のような美しい濃淡)とやわらかなイエローやサーモンピンクの組み合せ。
2.クロスステッチ・モチーフ
3.トロンプロイユの進化と継続
4.ヘリンボーンやのチェック、ペイズリー等トラッド・モチーフのアレンジ
5.プリーツ(折り紙)
本コラムではインテリアの内装材にまつわる様々な情報を発信してまいります。国内の新しい製品情報はもとより、エンドユーザーの消費行動に関する変化や海外トレンドから得られるデザインのヒント、話題の建築などにも着目しご紹介してまいります。