2023年のMaison & Objet Parisのテーマは“Take Care”。4つの“Care”を軸にテーマが展開されました。一つ目は自分自身のケア(身体と心の健康)、次に他者のケア、地球のケア、そして遺産と由緒ある技術のケア。この問題に取り組み商品開発するブランドを取り上げ紹介しています。
そして、トレンドブースとなる“What's New?”では、3つのコーナーでそれぞれ、現代社会のストレスから私たちを解放してくれる“Take Care”なスタイルが発表されました。
“What's New?” 1. GROUNDED BY FRANÇOIS BERNARD
フランソワ・ベルナールが今回取り上げたのは、“Grounded(地に足をつけた)”デザイン。それは木や土、ガラス、陶器といった素材そのものが持つ癒しの効果、感覚を刺激する素朴な魅力、マテリアルに根差す力強さを感じるデザインです。彼が「グラウンデッド」と名づけた空間では、デザインの正確さやコンセプトの強さとともに、贅沢さとは主に素材の魅力を引き出すことだと語っています。バーチャル空間におけるデザインと対照的に、リアルの世界に存在する確かな形あるものとしての価値に焦点を当てました。
“What's New?” 2. SLOW HOSPITALITY By François Delclaux
フランソワ・デルクローは列車の旅をテーマにブースを構成。時間を超えた旅、スローなおもてなしをコンセプトにしています。ヨーロッパや南米などを巡る列車の客室を想定して作られたその空間には、目的地や経由地を連想させる色柄のアイテムを揃え、時に贅沢なキャンプのように、または若い女性のカラフルなパウダールームのように楽しい空間を提示しました。現代に生きる私たちはもう少しペースを落としてスローダウンする必要がある。これはフランソワ・デルクローが「スローホスピタリティ」スペースを通して伝えるメッセージです。ホスピタリティとは加速する世界のスピードから逃れるための避難所であると同時に、より責任ある持続可能な方法で風景や地域文化と再びつながるための手段でもあると語ります。スロートラベルの理想的なシンボルである夜行列車に乗り込み、「トロピカルモダニズム」「森のグランピング」「海岸線の夢」という皆が夢見る旅先のイメージを目的地とし、そこへ至るワクワク感を演出しました。
“What's New?” 3. IN THE AIR By Elizabeth Leriche
エリザベス・レリッシュによる "In the air "は、現代社会で生きる私たちを取り巻くさまざまなストレスから解放するための解決方法をオブジェや家具、空間デザインで提示しました。エリザベス・レリッシュは私たちに立ち止まり、一息つくようにと誘います。青、白、朱赤の空間からなる各エリアは様々なアプローチで私たちに深呼吸とリラックスを促します。彼女が考えるケアは軽快さと安らぎです。青の空間では高い山の峰を連想させる美しいグラデーションと透明性、軽量感を追求したオブジェに囲まれています。ここで新鮮でピュアな空気を吸い込んだ後、白いゆったりとした時間が流れる瞑想の空間が訪れます。和紙を連想させるゆりかごのようなパーテーションやオーガニック素材のクッションやソファでくつろぎの時間を取るのです。そして、光と色彩にあふれた朱赤のエリアは、まるで未知なる世界のように情熱的に私たちを色彩で迎えます。ガラスや樹脂、布などの素材がエネルギーに満ちた色で彩られることで全く違った表情を見せます。ここで私たちはエネルギーをチャージするのでしょう。
本コラムではインテリアの内装材にまつわる様々な情報を発信してまいります。国内の新しい製品情報はもとより、エンドユーザーの消費行動に関する変化や海外トレンドから得られるデザインのヒント、話題の建築などにも着目しご紹介してまいります。