装飾性が戻ってきた2016年ー2017年。色や柄を楽しむ空間デザインの流れは、なにも住宅に限ったことではありません。これまでその性質上、無機質なまでにシンプルだった病院のデザインにも変化が起こってきています。今回はアクセントクロスやタイルを効果的に使ったクリニックのデザインをご紹介しましょう。

個性化が進む街やビルの中のクリニック

近年、ビルやショッピングモールなどの商業施設内にクリニックモールが数多く出来ています。競争が激化する中、病院のデザインの個性化が進んできています。もともとクリニックの中でも歯科医院は早くからデザイン性の高いデザインで差別化を図るところがありましたが、最近では小児科や内科、専門性の高い脳神経内科などでもその傾向が見られます。
最近のクリニックはホームページを充実化させ、OPEN前に内覧会などのイベントを開催し、近隣の住民や利用者に施設設備や診療内容、院内の雰囲気を紹介する場を設けています。そのため、画一的だった従来の病院内装ではなく、インテリアイメージを明確にし、デザイン・コンセプトをしっかり立てた空間デザインが増えてきているのです。

H クリニック待合室(東京都中央区)
H クリニック待合室(東京都中央区)

アクセントクロスやタイルで空間に色彩を

待合室/Hクリニック
待合室/Hクリニック

オフィスや飲食店などが多数入った商業施設棟と住居棟が併設された湾岸エリアの複合施設内に2016年に開院した小児科・皮膚科のクリニック。また、保育施設も併設してオープン予定など、働く人にも住む人にも優しいクリニックです。

待合室には親御さんが見守る中、幼児が安心して遊べるキッズコーナーと小学生のお子さんも塗り絵などして過ごせるデスクコーナーがあります。キッズコーナーには市松柄に配したクッション入りフロアを設け、鳥の絵柄が楽しいアクセントクロスで楽しい雰囲気に。また心和ませるアクアリウム(水槽)も設置し、患者さんのストレス軽減のための工夫が施されています。そして無機質な印象にならないよう、受付や待合室を彩る色柄が魅力の壁紙とアクセントタイル。診察室の中にもさりげなくストライプ柄のクロスを貼り、空間に色味をプラスしています。


《Hクリニック/東京都 中央区》

デザイン・コンセプト『都会のオアシス・クリニック』

インテリアイメージ『北欧Modern Natural』

キッズコーナー、待合室/Hクリニック
キッズコーナー、待合室/Hクリニック
受付カウンター/Hクリニック
受付カウンター/Hクリニック
待合室 水槽/Hクリニック
待合室 水槽/Hクリニック
診察室/Hクリニック
診察室/Hクリニック
保育施設/Hクリニック
保育施設/Hクリニック
保育施設/Hクリニック
保育施設/Hクリニック

照明や装飾性で個性豊かなクリニック

待合室/M医院
待合室/M医院

最近の傾向として院長先生ご自身の個性がデザインに反映されるケースがあります。新しく開設するクリニックに対して、従来の病院のイメージを払拭したいと考える先生が増えており、その一手法として先生ご自身の好みやキャラクターをデザインに反映させる場合があるのです。

このクリニックもその一例です。院長先生はオーダーメイドのスーツがとても似合うダンディーな紳士です。先生の好みを伺い、またその佇まいを拝見してこのデザインコンセプトが生まれました。クラシックなホテルラウンジのような雰囲気と落ち着き、ゆったりと過ごすことで心身ともに休まる空間となる待合室をデザインしました。

ダンディーな紳士を特集した写真集にも掲載された先生のポートレートをモスグリーンがアクセントになった壁面に飾り、ダークブラウンの木目が美しい飾り棚を設け、重厚感のあるクラシックデザインのタイルを受付カウンターに施しました。またその上にはクラシックな印象を持つガラスシェードのペンダントライトやブラケットライトを配し、窓から入る外光と合わせ演出性のある照明計画としました。外来用のパウダールームもホテルライクな装飾性をプラスしています。病院としての機能性や清潔感、明るさを保ちつつ、落ち着いた色調をアクセントとして用い、クラッシック・ダンディな空間に。


《M医院/東京都 世田谷区》

デザイン・コンセプト『落ち着きと伝統の薫り』

インテリアイメージは『Classical Dandy』

受付、待合室/M医院
受付、待合室/M医院
待合室/M医院
待合室/M医院
受付カウンター/M医院
受付カウンター/M医院
受付カウンター照明/M医院
受付カウンター照明/M医院
待合室 飾り棚/M医院
待合室 飾り棚/M医院
外来用パウダールーム/M医院
外来用パウダールーム/M医院
外来用パウダールーム/M医院
外来用パウダールーム/M医院
廊下/M医院
廊下/M医院