前回ご紹介した海外の展示会に見られるトレンド情報。でもそこで紹介されている色柄や家具の情報をどのように活用したら素敵な部屋になるのか。その「やり方」がわからない、という人のために今回はパリの有名セレクトショップの事例をヒントにトレンドカラーの使い方をご紹介します。世界中のプロが視察に訪れるというパリで大注目のセレクトショップ2店のコーディネーションを参考にして、ぜひ自宅の部屋をトレンド感満載の“色のある暮らし”にしましょう。
パリで注目の話題のショップ Maison Sarah Lavoine
Maison Sarah Lavoine/メゾン・サラ・ラヴォワンヌ
6 Place des Victoires, 75002 Paris, France
フランスのパリ2区にあるヴィクトワール広場に面したサラ・ラヴォワンヌの最新の旗艦店。サラが手掛けた1区のホテル“Le Roch Hotel & Spa” の近くにある店に続き出来た3番目にして最大の広さとなる店舗です。1階にはタイルのアクセントが効いたオープンキッチンがあり、居心地の良いカフェも併設。文具やアクセサリー、食器なども取り扱う充実の品揃え。2階に上るとそこはまるでリビングルーム。そしてダイニング、ベッドルームへと続く動線がまるでステキなパリジェンヌの家に招かれたような気持ちになる造り。サラがデザインするセンス溢れる家具やアクセサリーで空間が満たされ、至福のひと時に。
今すぐ取り入れたい色 深く神秘的な青緑
2018年、すぐにでも取り入れたいトレンドカラーのひとつは神秘的な湖や深い森の緑を思わせる青緑色(ブルーグリーン)。1月のMaison & Objet Parisや市内でのファブリックスの展示会Deco Off Parisでも多くのメゾンがこのカラーを打ち出していました。
実はこの色はパリで人気のデザイナーサラ・ラヴォワンヌの代名詞ともいえる色。現地では“サラ・ブルー”とも言われています。実際に彼女の店では少しスモーキーな緑青色から青みの強い紺碧色まで様々な表情をみせるブルーグリーン系カラーが、家具、カーペット、リネン類と非常にたくさんのアイテムで使われていました。
この色を美しく、かつ洗練された形でコーディネーションするテクニックがサラの店を見ると満載です。ひとつめは他のアクセントカラーとの組み合わせ方。芥子色とも言えるイエローオーカーを差し色として加えることで暗い印象になりがちな青緑色に明るさと華やかさをプラスしています。次に着目したいのはペールカラー(一般的にはパステルカラーとも言う)のごく淡いピンクやベージュなどの暖色を壁面に使い合わせるテクニック。そして空間をスタイリッシュに仕上げるコツとして無彩色である白や黒をポイントとして入れるところです。
ポイントはパイピング使い
サラのデザインで興味深いのはパイピングの使い方。ソファの張地やクッションに効果的にパイピングを使っています。また壁面のアクセサリーとして大活躍のミラーにも細いラインで強調するように黒い縁が回っています。照明器具のシェードも同様に。輪郭線をアクセントカラーや無彩色の細めのラインで縁どるテクニックは、強めの色を空間で使う的には大変効果的です。強い色と強い色が重なりあう時、パイピングやラインが入っていると洗練された色の切り替えとなり、白や黒の無彩色を加える事でスタイリッシュ感も演出できます。つまり、野暮ったく重い印象にならないのです。ダークな色を使う事にためらいを覚える人はパイピングが入った小物使いから始めてみると良いでしょう。
壁面を大胆に切り取って色を使おう
家具や小物でトレンドカラーを取り入れる事例をいくつかご紹介して来ましたが、インテリア空間を大きく効果的に模様替えするには壁面デザインを変えるがオススメです。最近では簡単に貼り替えできる壁紙も多数登場し、DIY好きの方には好評です。ソファの張地を変えたり本体を買い替えるには何十万円もかかりますが、壁一面だけのクロスの貼り替えならプロに頼んでも数万円で済む場合もあるのです。ここでは店内で見られたいくつかの色分けテクニックをご紹介します。
柱と柱の間にある小さな凹みやコーナーの壁の一画を濃いディープカラーで色付けし、フォーカルポイントにするテクニック。次に曲線や斜めのライン、幅太めの縁取りなどで色を分けるテクニック。こうする事で目立つビビットカラーでも色配分を押さえられ、かつ他には無い大胆なデザインを壁面で楽しむことが出来るのです。
必ずプロがチェックするセレクトショップ merci
Merci/メルシー
111 Boulevard Beaumarchais, 75003 Paris, France
このサイトでも度々登場するパリの有名セレクトショップmerci(メルシー)。ファッション、インテリア、その他各業界のプロが必ず立ち寄る有名店です。今年も商品セレクト、店内ディスプレイでトレンド要素が沢山見られました。前回ご紹介した『SHOW ROOM』というMaison & Objetのトレンドキーワード。それは自宅の装飾やインテリアを積極的にInstagramなどのSNSで発信する人たちが登場し、まるでプロのデザイナーやアードディレクターの様に大胆な色使いやオブジェの装飾で室内空間を彩る傾向の事です。日常生活にエッジの効いたスパイスとなるような装飾、自分の趣味やコレクションを自慢するようなディスプレイをぜひ試してみませんか?
本コラムではインテリアの内装材にまつわる様々な情報を発信してまいります。国内の新しい製品情報はもとより、エンドユーザーの消費行動に関する変化や海外トレンドから得られるデザインのヒント、話題の建築などにも着目しご紹介してまいります。