襖の張り替え

張替えの基礎知識

襖の種類による張替え方法

襖の張替えは、襖の種類によって方法が異なります。まず、張替えたい襖のことを調べてから、張替作業にとりかかりましょう。以下に襖の張替えを初めてお考えの方に、張替えるための基礎知識について概略をご紹介いたします。

《何回でも繰り返し張替えが可能な襖》には「和襖」や「単板ぶすま」があります。和襖の内部構造は、木などの骨組みに幾重もの下張りの紙が貼られていて、その上に表層の襖紙が貼られている構造です(和襖の構造図)。和襖の張替えは、引き手や縁をはずして上張りを剥がし、新しい襖紙を貼りなおします。専用のノリで浮かし貼りの紙の上に貼られているため、前の紙は無理なく剥ぐことができます。下張りの破れや骨組みの破損もこのときに修理可能です。また縁の傷を修繕し痛んだ縁を取り替えることも可能です。ですからいつまでも同じ襖をリニューアルしてお使いいただけます。
単板襖も浮かし貼りで襖紙が貼られ、何度も張替えがききます。

襖の内部構造

古くなった襖紙を剥がさずにその上から新しい襖紙を張る方式で張替えが行われる襖には「量産襖(工場生産品)」があります。これらは、芯材のダンボール、発泡スチロール、ペーパーコアなどにアルミ箔やチップボール紙を貼り、その上に襖紙がベタ張りされています。これらは、古い襖紙(剥がせません)をそのままにして、破れや凹みを補修し、その上に新しい襖紙を貼ります。この方法は何回も繰り返し張替えることができません。1,2回が限度と考えてください。引き手だけはずし縁はそのまま張替えるので、作業は比較的簡単です。

和襖の場合も、応急的な張替えであれば、このように上から貼る方法をとることも可能です。

前の紙を剥がして張替える和襖については、専門の職人(経師・表具店)に頼むのがよいでしょう。張替えといっても、ほとんど新品に替えるのと同じ効果がありますから、専門の道具を使って熟練した技術で仕事をしてもらうことをおすすめします。

襖紙の上に貼るタイプのDIY用襖紙はホームセンターで購入できます。日曜大工に手馴れておられれば、ご自身で張替えることができます。でも、大きな襖を何枚もきれいに張替えるというのは、手馴れていないと失敗しがちです。このような張替えも、経師・表具店に頼むことができます。

襖の張替費用について

襖の価格には大きな幅があります。また張替費用も、使う素材のグレードのほかにも、コストの変動する要因が多くあります。このため、襖の価格や張替費用については、なかなか判りにくいものです。以下に、この変動幅の大きい襖張替えのコストについて、解説いたします。

襖の張替えは、主に経師・表具店が施工を担当しています。張替えは、まず張替える襖紙を決めます。この襖紙については、《襖の基礎知識:襖紙の素材》にご説明しましたが、素材の種類・図柄の加工方法などによって、襖紙の価格が大きく異なります。高いものでは1枚が数万円となる襖紙もありますし、もっとも廉価な普及品では1枚が700円程度となります。お客様が今使われている襖のグレードにあわせて襖紙を選ぶか、もっとグレードの高い襖紙に替えるか、あるいは多少費用を押さえる方向で考えるか。・・これらの判断で、襖紙そのもののコストが変わってまいります。

襖紙の選択は通常、経師・表具店の担当者がお客様のもとに見本帖を持ってうかがい、お客様に選んでいただきます。そしてその商品を内装材料店に注文します。内装材料店は注文に応じて襖紙を表具店に納品します。このように商品のデリバリー(手間と送料)が注文ごとに発生します。つまり襖紙の取り寄せ費用がかかるわけです。

また襖の張替え施工は、お客様のお宅から襖を取り外し、表具店に持ち帰って行うことが一般的です。つまり、取り外しの時と完成品納入の時との2回は、お客様のお宅と表具店の間を、襖という大きな荷物が往復します。この移送に、昨今は駐車場の料金なども必要な場合が多くなってまいりました。高層住宅では、時には階段で上層階まで運び上げなければならないケースもあるようです。こうした付帯的な経費がかかります。

襖の張替作業については、

  1. 引き手と縁の取り外し
  2. 上張りめくり(剥がす)
  3. 中骨の修理と下張りの補修
  4. 縁の傷の修理
  5. 襖紙の貼り込み
  6. 縁の取り付け
  7. 引き手のはめ込み

という手の込んだ作業で行われます。特に図柄のある襖の場合は、複数の襖全体の図柄の位置決めなど、専門職としての技術を必要とします。また使用するノリや刷毛なども襖専用のものを使います。これらが襖張替えの作業料金(技術料を含みます)になります。

このように、襖の張替え費用は《襖紙の値段》《襖紙の取り寄せ費用》《襖の搬出・搬入のための費用》《襖張替えの作業・技術料》などから構成されます。襖紙そのものの値段よりも、作業料や関連費用の方が大きくなるのが一般的です。

これら各項目の見積もりは、ご注文のケースにより、それぞれ異なってまいります。襖の張替え価格が分かりにくい一因は、こうした項目を検討しながら見積りを作らないと、一概にいくらと言えないためなのです。

なお経師・表具店によっては、自社の標準価格表を作ってお客様にご案内しているケースもあります。つまり、襖の張替え費用については
≪詳細を見積もってお客様に提示するケース≫
≪自社標準価格表に従ってお客様に提示するケース≫
の2種類あることをご理解ください。

もちろん消費者としては、襖の張替えを検討するためには前もって《大まかな張替え費用を知りたい》というのが本音でしょう。しかし、張替え枚数や納品場所、襖構造の地域差などを含めて、様々な価格変動要因があります。
張替えをお考えになる際には、是非お気軽に見積りを取ることをおすすめいたします。

張替えを専門業者に注文する

これからも永く使うつもりで張替えるなら、お部屋のインテリアのリニューアルと考えて、襖紙選びからはじめるといいでしょう。そのためには、張替えを頼む表具店や内装専門業者、インテリア・コーディネーターなどによく相談されることをおすすめいたします。

また好みのデザイン・図柄・素材を探したいのであれば、内装材料店で各社の襖紙の見本帳を見せてもらい、施工業者を紹介してもらうことも一つの方法です。襖紙の見本帳は100冊以上も発行されていて、数千種類の襖紙があります。きっと、気に入った襖紙が見つかるはずです。

張替のご相談は、下記サイトよりお近くのお店にお問い合わせください。