襖の内部構造

襖の内部構造は、その内部に使う素材によってそれぞれに違いがあります。
下地材に使われているものによって襖の種類には、つぎのようなものがあります。

下地材による襖の種類

(1)組子襖

昔からの襖で、現在でも代表的なものです。一般に組子は縦3本、横11本で組みますが、この見付き寸法は4分(=四分子)が普通です。特に構造を強化したい場合には、力子、燧板(隅板)を加えることがあります。
普通、組子の上に骨縛り、打ち付け貼り、蓑貼り、べた貼り、袋貼りなどの順に下貼りを重ねて芯を仕上げますが、骨縛りとべた貼りを合わせて1枚にした紙(漉き合わせ)を使用する場合が多くなっています。
この襖は、そりやねじれに強く、伝統的に長く使われきており、温度湿度への適応性からも日本の気候風土に合ったものといえます。また張り替えの即応性があるということからも、多く使われている襖です。

襖紙の模様

(2)単板襖

簡単に組んだ組子の上に丸太(主としてラワン材)をむいて切り取った0.7㎜~1.2㎜のごく薄い板(これが単板)を貼った襖ですが、地域によって単板の厚さや組子の本数に多少の違いがあります。糊づけのため骨を柱の曲りに合わせることはできないので、縁をつけて完成したものを下桟などで調整して柱付きを合わせます。
単板襖は、ダンボールや発泡プラスチック系に比べて、寸法物への対応性に劣ります。また、紙貼りの作業ではチップボール芯にはかないません。そのうえ、やや重量感に欠けるところがあります。

(3)板(ベニヤ)襖

単板襖と同じ構造で、組子の上に厚めの合板(べニヤ板)を貼った襖です。 この襖は、ほかの種類の襖に比べ丈夫なことが特長です。ただし、かなり重量があります。最近は、片面は襖紙、片面には壁紙などが貼られた「戸襖」と呼ばれるものもあります。

(4)チップボール襖

簡単に組んだ組子の上に、骨縛りとべた貼りに代えて、チップボール(チップボードともいう。ボール紙の一種)を貼った襖です。組子襖に比べて組子の本数が少ないのですが、骨縛りやべた貼りの手間がはぶけるためによく使われています。

(2)単板, (3)板(ベニヤ), (4)チップボール

(5)ダンボール襖

量産襖の代表的な襖です。3層ぐらいに重ねたダンボールを芯材として、一番上のダンボールの両面には、湿気防止用のアルミ箔が貼られています。この襖は、張り替えがしにくいという欠点をもっていますが、芯材を機械生産することができるためコストが安くすむという大きな特長もあります。

(5)ダンボール襖

(6)発泡プラスチック襖

プラスチックの発泡体を芯材とした襖です。プラスチックの種類にはスチロールとスチレンの2種類がありますが、スチロールを使っているものが大半を占めています。
この襖はダンボール襖と同じように張り替えの点で他の襖に劣りますが、大量生産ができるのでコストが安く、寸法詰めも自由になるという利点があります。このため、まとまった需要にも応じることができます。

(6)発泡プラスチック襖

(7)ぺ一パーコア襖

プラスチックの発泡体を芯材とした襖です。プラスチックの種類にはスチロールとスチレンの2種類がありますが、スチロールを使っているものが大半を占めています。
この襖はダンボール襖と同じように張り替えの点で他の襖に劣りますが、大量生産ができるのでコストが安く、寸法詰めも自由になるという利点があります。このため、まとまった需要にも応じることができます。

(7)ぺ一パーコア襖

(8)アルミ(縁)襖

プラスチックの発泡体を芯材とした襖です。プラスチックの種類にはスチロールとスチレンの2種類がありますが、スチロールを使っているものが大半を占めています。
この襖はダンボール襖と同じように張り替えの点で他の襖に劣りますが、大量生産ができるのでコストが安く、寸法詰めも自由になるという利点があります。このため、まとまった需要にも応じることができます。

(8)アルミ(縁)襖

和襖の下地骨

一般的に襖の下地骨には杉白太材が多く使われていますが、ときには樅を用いることもあります。また、高級な襖の場合には檜や栂、桐なども使われます。 襖骨はその周囲の縁を框(縦のものを竪框/たてかまち、横のものを横框)といい、中の組子を中子・中組子、その組子の縦のものを竪子・竪組子、横のものを横子・横組子、力骨を力子と呼んでいます。 中組子は、縦3本、横11本を普通として、上級品は横を13本とします。 襖の中央の力骨の下の小間には、引手板を付けます。また、襖の歪みや隅じわを防ぐために、四隅に厚さ6㎜くらいの燧板を入れる場合もあります。燧板は隅板とも呼ばれます。

和襖の下地骨
骨の寸法
骨の組み方 名称 見付き 見込み
平骨 8 分(24mm) 5.5分(16.5mm)
力子 11 分(24mm) 4.5分(13.5mm)
組子 6.5分(19.5mm) 4.5分(13.5mm)
引手板   4.5分(13.5mm)
堅平骨 7 分(21mm)  
力子 6.5分(19.5mm) ・平骨と同じ
組子 4.5分(13.5mm)  
割返し骨 7 分(21mm)  
力子 6.5分(19.5mm) ・平骨と同じ
組子 4 分(12mm)  

さるとり

周囲の框は襖縁から下貼り紙の厚さ分だけ、片面につき1㎜ぐらいずつ薄くし、内部にむけて楔形に削ります。このことを「さるとり」といい、仕上がりを美しくするための工程です。

さるとり

襖骨の組み方

襖骨の組み方には、さまざまな種類がありますが、
「平骨十文字燧板入り」「平骨」「竪平骨」「割返し」「四分子」「三分子」などが、現在使れている代表的なものです。

襖骨の組み方

襖紙の貼り方

襖紙とひと口に言っても、その工程にはいろいろあります。つぎに紹介するのは、組子襖の下貼りから上貼りまでの一般的な貼り方です。

下貼り

  • 骨縛り
    組子側に糊をつけて、手漉き和紙・茶チリ・桑チリなどの強い和紙を、障子貼りのように貼る。
  • 打ち付け貼り
    骨が透けないように、透き止めなどのためにすることもある。「骨縛り押貼り」ともいわれる。
  • 蓑貼り
    紙を框に糊付けし、ずらしながら重ねて、蓑のように貼る。「重ね貼り」とも呼び、手漉き和紙・茶チリなどの薄手の紙を用いるが、反古紙を使うこともある。
  • べた貼り
    紙の全面に糊を付けて貼る。
  • 袋貼り
    半紙または薄手の手漉き和紙・代用石州・茶チリなどの紙の周囲にだけ、細く糊を付けて袋状に貼る。「浮け貼り」ともいわれる。
  • 清貼り
    紙の全面に薄い糊を付け、襖全体に貼る。ただし、これは上貼りの紙の材質によって行う。
代表的な下貼り肯定
  上級 一般 戸襖
十遍貼り仕上げ 七遍貼り仕上げ 四遍貼り仕上げ 三遍貼り仕上げ
骨縛り 1回 1回 1回 1回  
打ち付け貼り 1回 1回      
蓑貼り 4回(※3回) 2回      
べた貼り 1回 1回 1回 1回 1回
袋貼り 2回(※3回) 2回 2回 1回 1回
清貼り 1回        

※十遍貼り仕上げの場合、清貼りなしで袋貼りのみ3回のこともあります。
 蓑貼り3回の時は袋貼りを3回にします。

上貼り

  • 襖紙(上貼り紙)は、紙・織物・ビニールに大別される。紙の種類、材質などによって施工の際、糊の濃さを加減するなどの細かい配慮と高度な技術を要する。

※各種襖の特徴
各種襖には、それぞれ一長一短がありますが、総合的に判断すると、やはり長い歴史の中で育まれ、伝統に培われた組子襖が優れています。まさに日本の気侯風±の理にかなった建具といえるでしよう。

テーブル挿入
  耐久性 強度 そり・ねじれ 軽量度 価格(コスト) 量産度 建て合わせ デザインの自由度 上貼りの選択 張り替え
組子襖(四遍貼り)    
単板襖  
板(ベニヤ)襖  
チップボール襖      
ダンボール襖              
発泡プラスチック襖